6月5日は落語記念日!その歴史と面白いトリビアをご紹介
毎年6月5日は、特別に落語を祝う日として知られています。
2000年以降、東京の4つの主要寄席と国立演芸場は、6月の第1月曜日にプロモーションを展開し、観客に割引や特典を提供しています。
この日の起源は、1798年6月に台東区東上野の下谷稲荷社(現:下谷神社)で開かれた初代三笑亭可楽のイベントにさかのぼります。彼は元々櫛職人で、「山生亭花楽」と名乗っていましたが、後に三笑亭可楽と改名しました。
彼の名前は、「小さくても効果的」という意味が込められており、今もなお9代目に受け継がれています。
下谷神社には「寄席発祥の地」と記された記念碑が立てられています。
落語のルーツは戦国時代まで遡ります。当時、大名の側近として活躍した「おとぎ衆」が面白おかしい話を披露していました。
特に、江戸時代初期の浄土宗の僧、安楽庵策伝が「醒睡笑」という本に笑い話を集め、これが後の落語の形成に大きく寄与しました。策伝は「落語の祖」と称えられ、その名前は岐阜市で開催される「策伝大賞」という全日本学生落語選手権にも残されています。
江戸時代には露の五郎兵衛や米沢彦八といった新しいスタイルの話術で人々を惹きつけた落語家が登場しました。彼らは「辻噺」と呼ばれるスタイルを確立しました。
その後、烏亭焉馬が1786年に「落とし噺の会」を主催し、これが三笑亭可楽や三遊亭圓生による寄席の開設と江戸落語の再興につながりました。
明治時代には三遊亭圓朝が現れるなど、多くの落語家が登場し、落語は一層の発展を遂げ、庶民の間で愛される娯楽として根付きました。現代に至るまで落語は進化し続け、新しい演目が次々と生まれています。
落語は、扇子一つと手拭いだけで様々なキャラクターを演じ分ける、奥深い芸術です。同じ話でも落語家によって異なる解釈が加えられるため、一度生の落語を体験してその魅力を実感してみてください。

「サゲ」とは?落語の面白さを引き出す結末の技術
落語の演目は、通常「マクラ」(序談)、「本編」、そして「サゲ」(結末)の三部構成で進められます。
サゲは、演目の最後に来て、観客に笑いを提供し、高座を締めくくるための重要な部分です。
舞台を下ろすことを「落とす」とは言わず、「下げる」と表現します。同様に、落語の結末も「オチ」ではなく、「サゲ」と呼ばれています。これは、「落とす」という言葉が商売の世界で不吉とされたためです。
すべての落語が明確なサゲを持つわけではありません。実際にはオチがない演目も存在し、落語はただの「落し噺」に留まらない広がりを持っています。高座で語られるあらゆる話が落語とされるのです。
サゲの種類
落語のサゲはいくつかのパターンに分類されますが、これらは厳密なカテゴリーには属さず、その特徴に基づいて柔軟に分類されます。噺家はこれらの分類を意識せずに自由に表現を行います。
逆さサゲ:物語の初めとは逆の結果に終わるパターンです。例えば「初天神」では、子供が凧を欲しがりますが、結果的には親がその凧で遊ぶことに夢中になります。
仕込みサゲ:物語全体に伏線を散りばめ、それが結末で明かされる形式です。「時そば」や「壷算」などがこのパターンに属します。
仕種サゲ:結末を演技や仕草で表現するサゲで、噺家の表現力がクライマックスに影響します。「死神」などがこのタイプです。
その他のサゲ
考えサゲ:観客に短い間思考を促し、その後で笑いを引き出します。
地口サゲ:言葉遊びや駄洒落で観客を楽しませます。
途端サゲ:突然の一言で物語を結末へと導きます。
見立てサゲ:意外な展開や誤解を利用して結末に至ります。
落語のサゲは、予測不可能な展開が多く、そのサプライズが聴衆を魅了します。サゲの種類を理解することで、落語の深い楽しみ方が見えてくるでしょう。
